側面の様式(その2)


・客室窓

 客室の窓についてはそれほど大きな違いはありませんが、形状について若干の違いを見ることが出来ます。次の写真を基に、その違いについて見て行きましょう。

 

115系窓[1](ユニット窓)
上野 2000.11.11

 

115系窓[2](非ユニット窓)
上野 2000.2.7

 これを見てみると、[1]の窓は、直角に枠を取ってありますが、[2]の窓はよく見るとサッシ窓が車体に埋めこんであるように見えます。
 見ようによっては前者の方が枠がむき出しなので古く見えるでしょうが、これは「ユニット窓」というはめ込み型の窓で、実は比較的新しいものなのです。これが開発される以前の車輛の窓は後者のように、車輛に直接溝を彫って窓をつけるものでした。
 ご年配の方ならば、「10系客車の窓と同じ」といえばぴんと来られることでしょう。時は昭和30年代、それまでの無骨な旧型客車に代わり、颯爽と現れたあの10系です。あの斬新なスタイルが当時一世を風靡したこともあって、電車にもこのような窓が取り入れられたのです。
 つまり、逆に言えば[2]のような窓を持っている115系は相当の車齢(少なくとも30年以上)だということです。何せ、ユニットサッシ化された300番代の製造初年が昭和48年ですからね(汗)。実際、よく見てみると側面に「特別保全工事」を示す記号があったりします。……ご老体はいたわりませう(笑)。

 これも番代による違いがあり、[1]は300番代以降、[2]は初期車(0番代・600番代)にのみ見られます。

・クーラー

 以上に挙げたものと比べて非常に地味ですが、115系では屋根の上にあるクーラーにも2つの違いがあります。

クーラー[1](集中式)
上野 2000.11.11

クーラー[2](分散式)
上野 2000.11.19

 写真が暗くて少し見づらいですが、[1]は1ヶ所に設置されているのに対し、[2]は2ヶ所に分けて設置されています。
 これはいわゆる「集中式クーラー」と「分散式クーラー」で、前者が中央部に集中させたクーラーでいくつものファンを回すのに対し、後者では2ヶ所に分けたクーラーでそれぞれ1つずつファンを回します。要するに前者では全面的に屋根を改造してクーラーを入れているのに対し、後者では非冷房時代の換気口を広げてそこにクーラーを1基ずつはめこんでいるわけです。
 こう書くと一見[2]の方が古そうですが、さにあらず。115系非冷房車の冷房化は、冷房車が新製され始めた昭和50年代から始まりましたが、実はこの際行われたのは[1]の方式でした。新製車がこの形式であることからそれに合わせたものでしょうが、この方式は屋根の全面張替えから車体補強まで大規模な改造をしなければならず、はっきり言って面倒でした。そこで民営化以降、採用されたのが[2]の方式だったのです。
 ただし、さすがに民営化の頃になると冷房化はほとんど終了していたため、この方式で改造された車両はクハ115‐196・203・204・223・224・228、モハ115‐99・117・121・125・135、モハ114‐103・107・111・121・823のわずか16両にすぎません。このため、この分散式クーラーを積む車両と出会うのは至難の技で、上の写真を撮るときもかなり苦労させられました。
 ちなみに、115系が積んでいるクーラーの型式は、集中式はAU75形、分散式はAU712形といいます。

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