前面の様式(その1)


 まず、車輛の文字通り「顔」である前面から見ていきましょう。
 115系にいろいろな塗装があるのは「走行線区」で書いた通りですが、東北・高崎線の115系はその中でも一番オーソドックスな橙色と緑色のツートンカラー・「湘南色」です。あとで出てくる写真をご覧になれば分かると思いますが、塗りわけは上の方と下の方が緑色、そしてその中が橙色と非常に単純です。でもそのシンプルさに「国鉄型」の味がある、とも言えましょう。

 また、同じ東北・高崎線の115系の中でも、前面の様式が違うものが結構あります。以下では、それについて、それぞれのパーツに分けて説明したいと思います。

・汽笛の覆い

 汽笛の覆いには、2つの違いがあります。

汽笛[1](縦開きの蓋)
上野 1999.5.22

汽笛[2](スリットつきの蓋)
池袋 2000.3.22

 115系では汽笛は貫通扉の横についていますが、[1]が縦開きのフタをされているのに対し、[2]はスリットのついた円盤をかぶせてあるだけで、明らかに違います。
 実はこの違いは寒冷地仕様であるか否かで生じる違いでして、前者の方が寒冷地仕様です。「寒冷地仕様というと、一般的には「雪」「寒さ」の対策として行われるのですが、この汽笛のカバーの場合は、汽笛を吹鳴する時の圧縮空気の勢いでフタを開け、付着した雪を振り落とす「雪」対策です。もし北陸・東北地方などで国鉄型車輛が汽笛を鳴らしながら通過して行くのに出くわしたら、よく見てみて下さい。フタがしっかり開いてます。
 あと、よく見ると[1]と[2]ではタイフォンの高さが異なります。ライトの中心の高さと比べてみてください。[1]はそれより微妙に高く、[2]は逆に微妙に低いのが分かります。

 この異同は番代の違いによるもので、[1]のタイプは300番代以降、[2]のタイプは初期車(0番代・600番代)のみに見られます。……って、300番代以降は寒冷地仕様なので、当たり前なのですが。

次のページ→


「外観と車内設備」に戻る


Copyright(C) Masaki Tomasawa.