車輛紹介
(2000年9月17日現在 その1)


 名鉄美濃町線は、「路線図と路線紹介」のコーナーでも申し上げた通り、新岐阜側で電圧の異なる各務原線に乗り入れております。そのため、車輛も600V区間と1500V区間双方を走行出来るという「複電圧車」と在来の「600V専用車」の2種類が在籍しており、それぞれがそれぞれの特徴をいかして運用についています。

《複電圧車グループ》

[1]800形(801〜803)

新岐阜行の801
野一色 2000.12.25

801車内
新関 2000.12.25

 平成12年7月、美濃町線近代化とモ600形置き換えのために投入された新型車両です。
 もう見ただけでお分かりかと思いますが、今はやりの低床車です。実際、台車は全部車体に埋め込むようについていますし、しかも一番低い部分の高さが380mm程度しかないため、ひとまたぎもせずに乗り込むことが出来ると言ってもいいくらいです。ただその代わり、車内では床が中央入口に向かって思い切り低くなっており、運賃箱のところまで行くのがかなりつらいです。それを考えると、いいのやら悪いのやら、という感じではあります。
 座席は固定式のバスに似たもので、なぜか一番前だけ運転席向きで後はすべて後ろ向き、という妙な座席配置をしています。600形が転換クロスだったので期待していたのですが……。確かに転換式にすると機構は複雑になるかも知れませんが、実際便利でしたからねぇ。
 ちなみに、600形ほどではありませんが、この車輌も顔が細いです。600形ほどはっきり分かるわけでもなく、角度によりけりですが、正面から見ると車体の前面への絞り込みが600形並にきつくなっています。これぞ馬面の血統?
 現在、600形に代わって主力となり、新岐阜〜関間の長距離運用についています。ただ、600形のように徹明町へ乗り入れる、ということはあまりないようです。

[2]880形(880〜889、2両ずつの組み合わせで5編成)

関行きのモ880形
新岐阜 2000.4.29

モ880形車内
野一色 2000.12.25

 昭和55年、新岐阜方面の輸送力増強を目的に投入された第2弾目の複電圧車です。600形と逆に低床の車体、広い全面窓に角型ライト、そして連接車と、それまでの美濃町線車輛の古めかしいイメージを一転させるデザインで登場しました。ただ、この時代になってもまだ新車でありながら非冷房で、スマートなスタイルに似合わず夏は蒸し風呂状態だったため、平成3年から全車に対して冷房化改造が行われました。しかし、クーラー自体が600Vでしか動かないダイレクトタイプであるため、1500V区間では使えず、やむなく市ノ坪〜新岐阜間だけは以前のように蒸し風呂状態で走っています。
 車内はプラスチック製の土台に座布団のようなクッションが並んだロングシートで、ユニークですがちと座りづらいのが難です。また、各扉の横には、ツーマン時代に車掌さんがドア扱いをしていた名残の戸閉装置が残っています。

 ほとんど新岐阜〜関間の長距離運用についており、美濃町線一番の働き頭です。
 なお、ツーマン時代の同車についてはこちらをご覧下さい。

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