車輛紹介
(2000年4月1日現在 その1)


 名鉄美濃町線は、「路線図と路線紹介」のコーナーでも申し上げた通り、新岐阜側で電圧の異なる各務原線に乗り入れております。そのため、車輛も600V区間と1500V区間双方を走行出来るという「複電圧車」と在来の「600V専用車」の2種類が在籍しており、それぞれがそれぞれの特徴をいかして運用についています。

《複電圧車グループ》

[1]モ600形(601〜606)

新岐阜行のモ602(ツーマン車)
市ノ坪にて 1998.12.25

新岐阜行のモ606(ワンマン車)
田神にて 2000.4.29

モ600形車内
北一色にて 2000.6.11

 昭和45年、市ノ坪車庫への引込み線を利用して各務原線に乗り入れを始めた時に投入された、記念すべき美濃町線の複電圧車第1号の車輛です。
 ご覧になれば分かる通り、思いっきり車体の両端が絞られて細身になっているのが特徴です(幅2200ミリ)。何だか花巻電鉄鉛軌道線の「馬面電車」を連想させる細さです。なぜこうしたかの理由は定かではありませんが、美濃町線自体道路の端、それも民家の軒先を走る部分がかなりあるので、それに配慮してのものと思われます。このような細身の状態で複電圧装置などというややこしい機械を抱え込んでいるため、抵抗器が屋根に追いやられてしまっています。そのため冷房がつけられず、夏は窓を開け放って走らざるを得ない状態になったり、車体に対して台車が高くなるため、乗客は高いステップを使って乗りこまなければいけないなど、弊害も生じて来ています。

 駆動方式は釣り掛け式、それも全国的に滅びかけているHL車(手動進段車)で、運転手の経験によってノッチを投入して走るという「職人技」を求められるその運転形態は、非常に貴重な存在です。また行き先表示は名鉄電車独特の「めくるサボ」ですし、車内は1人掛けと2人掛けの転換クロスシートが並んでいるなど、いろいろ変わった特徴を持っている車輛として有名です。

 主に新岐阜〜関間の長距離運用につくことが多く、現在も主力として活躍中ですが、2000年12月にワンマン改造されたモ606を残して今年度中に全車廃車されることが決まっており、非常に残念です。

[2]880形(880〜889、2両ずつの組み合わせで5編成)

新関行きのモ886+モ887(ツーマン車)
市ノ坪〜競輪場前間にて 1998.12.25

関行きのモ880形
新岐阜にて 2000.4.29

モ880形車内
野一色 2000.12.25

 昭和55年、新岐阜方面の輸送力増強を目的に投入された第2弾目の複電圧車です。600形と逆に低床の車体、広い全面窓に角型ライト、そして連接車と、それまでの美濃町線車輛の古めかしいイメージを一転させるデザインで登場しました。ただ、この時代になってもまだ新車でありながら非冷房で、スマートなスタイルに似合わず夏は蒸し風呂状態だったため、平成3年から全車に対して冷房化改造が行われました。しかし、クーラー自体が600Vでしか動かないダイレクトタイプであるため、1500V区間では使えず、やむなく市ノ坪〜新岐阜間だけは以前のように蒸し風呂状態で走っています。
 車内はプラスチック製の土台に座布団のようなクッションが並んだロングシートで、ユニークですがちと座りづらいのが難です。また、各扉の横にはそれぞれ戸閉装置がついており、ツーマン時は車掌さんがこれでドア扱いをします。

 ほとんど新岐阜〜関間の長距離運用についており、美濃町線一番の働き頭です。また、1999年12月の一部ワンマン化でワンマン化改造が施された車輛があります。

次のページへ→


「美濃町線の基礎知識」に戻る


Copyright(C) Masaki Tomasawa.